「もしも、家を建てる前に内装や配置、庭などを体験できれば」「もしも、旅行に行く前にそこでどんな楽しみ方ができるか体験できれば」「もしも、結婚式場を決める前に式中の雰囲気を体験できれば」。そんな誰かが望む「もしも」を叶えるのが、VRです。
今回お話を伺ったのは、VRのプラットフォームを提供するナーブ株式会社代表取締役の多田英起さん。VRを活用することで、これまで「買ってから体感する」のが当たり前だった世界が「体感してから、買う」ことが当たり前の世界になるといいます。多田さんが考える、人生の「もしも」を体験するVR、VRが創り出す価値観についてお話を伺ってきました。
「First Penguin(ファーストペンギン)」は、新たな分野に果敢に挑戦するスタートアップ経営者を、未知なる海に真っ先に飛び込む1羽のペンギンになぞらえてインタビューをする、YouTube番組。更新しているのは、Fintechに関連するプロジェクトやコミュニティ、施設を運営する株式会社FINOLABです。
「VRの将来は何も変わらない」と語る多田さんの未来についても、ぜひご注目ください。
「VRの将来は何も変わらない」インタビュー斜め読み
ここではインタビュー動画本編より5つのやりとりを簡潔にまとめました。回答に対する多田さんの思惑を深掘りしたい方は、ぜひ該当箇所がスポット再生されるURLよりご視聴ください。
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Q1.最初にナーブの事業概要について教えていただけますか?
A.「引越しやウエディング、旅行などのライフイベントが行われるときに、VRを使って擬似的に体験してから購入できるサービスを提供しています。例えば、引越しだと通常は不動産屋に行ったり、ポータルサイトを見たりしてどんな物件かを調べますよね。でも、何箇所も何箇所も内覧に行くのは、時間的にも体力的にも大変。とはいえ、店頭やインターネット上だけで絞り込もうと思っても、平米数や間取りの図を画面上で見るだけでは具体的にイメージできません。そんなときにVRを使い、どれくらいの広さか何箇所も体験することで、自分の物差しを作ってもらえればと思っています」
Q2.VRを体験するには、店舗に行かないと見られないのでしょうか?
A.「たとえ店舗に行かなくても、自宅配送という手段を用いることも可能です。例えばマンションを買いたい人向けに無料で不動産を20〜30軒集めたホームキットをお送りしたりもしています。色々な不動産に触れる機会にもなり、選択の幅も広がるのではないかなと。例えば『子供部屋を考えなきゃな』といったタイミングで、『試しに見てみる?』といったことも可能になります。しかも、不動産そのものだけでなく、住む街をVRで体験することも。商業施設や駅、コンビニエンスストア、スーパーがどれくらいの距離にあるのかを自らの身を持って感じられる世界がきているのです」
Q3.なぜ、VR業界で起業されたのですか?
A.「初めてVRを触ったときに未来を感じたからです。私がVRと出合ったのは、クラウドインフラの会社で次の活路を探しているころ。VRに最初に触ったときはインターネットを初めて知ったときと同じように、すごくイノベーションを感じました。ただ、同時に何に使うんだろう?とも(笑)。でも、技術は確立していていも世界で勝つために何をしたらいいのかといった答えをまだ誰も見つけていない状態でした。これがもしできたら世界に勝てるはずだと思ってプラットフォームを始めたのが、きっかけです」
Q4.現在は旅行分野でも活用していると思いますが、どのようにして使うのでしょう?
A.「旅行って、いかに最高の体験をするかが肝じゃないですか。そして、数ある旅行の中で、払える金額かどうかで判断するのが人間だと思うんです。海外に行くと、ザ・リッツ・カールトンなどのブランドホテルを安心の観点から選ぶ人は多い。でも、その国にも星のやのような最高の体験ができる宿泊施設はきっとあるはずです。『写真だと分からないので体験できたらいいな』というときにVRを使って体感していただくサービスを展開しています。知らないことは認知ではなく、体感してもらうことで初めて知ったことになる。そんな世界を作っていければと思っています」
Q5.「VRの将来は何も変わらない」とおっしゃっていましたが、どういう意味でしょうか?
A.「私たちが目指すのは、誰もが当たり前に体験できて自分の最も好きなものを選べる世界。かつて、スマートフォンは新しくてすごく便利な道具と言われていました。でも、存在することが当たり前の世界になった今、スマートフォンがあること自体に感謝する人はいないと思うんです。スマートフォンと同じように我々は、VRを使って欲しいものが簡単に見つけられる、買う前に体験できる世界をつくります。ただ、結果的にVRを使うことが当たり前の世界なので、何も変わらないという答えになるんじゃないかなと思っています」
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