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First penguin vol.02 日本植物燃料株式会社・合田真の考える「日本の未来とは?」

読了時間:約 4 分

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「日本の未来はアフリカにある」。そう語ってくれたのは、アフリカの南東部モザンビークで3事業を展開する日本植物燃料株式会社 代表取締役の合田真さん。日本から遠いモザンビークに拠点を持つ理由や、バイオ燃料を製造・販売する会社でありながらも電子マネー事業まで手掛けることになったきっかけ、日本の未来と現在のアフリカが紐づく理由について詳しく伺いました。

インタビューを実施したのは、Fintechに関連するプロジェクトやコミュニティ、施設を運営する株式会社FINOLAB。未知なる海へ真っ先に飛び込む1羽のペンギンになぞらえて、様々な分野で新しいことに取り組むスタートアップ経営者にお話を伺っています。YouTubeでは「First Penguin(ファーストペンギン)」 と題し、インタビュー動画を公開中。

ニーズを見極めながら複数の事業を展開させていく合田さんの手腕にもぜひご注目ください。

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「日本の未来とは?」インタビュー斜め読み

ここではインタビュー動画本編より5つのやりとりを簡潔にまとめました。回答に対する合田さんの思惑を深掘りしたい方は、ぜひ該当箇所がスポット再生されるURLよりご視聴ください。

Q1. まず、日本植物燃料株式会社の事業内容について教えていただけますか?

A.「元々はマレーシアやインドネシアなどの東南アジアでバイオ燃料を製造・販売していたのですが、その後アフリカのモザンビークに拠点を拡大。現在は、バイオ燃料の販売や買い取った農産物をパッケージして卸す農業分野の事業、電子マネー分野の3事業を軸に展開しています」

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Q2. 東南アジアから、なぜアフリカのモザンビークに事業を拡大させたのでしょう。

A.「バイオ燃料で使う植物を育てる場所として受け入れてもらえたのが、アフリカだったからです。というのも、有機無農法など付加価値をつけられる農作物と違って、バイオ燃料は人の口に入るものではないので、見た目の良さや無農薬栽培などで付加価値がつけにくい商材です。そのため、企業としてできる努力はコストをどうやって下げるか。東南アジアは雨がたくさん降るので数多くの植物を育てられますが、アフリカは雨量が少なく、土地の栄養価も低いので育てられる植物も限られてきます。そうしたときにバイオ燃料に必要な植物を育ててお金になるならばとモザンビークで受け入れてもらえました

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Q3. バイオ燃料の会社がなぜ電子マネー事業に参入したのでしょうか?

A.「私たちが拠点にしているモザンビークの村には電気が来ていませんでした。そのためバイオ燃料で発電した電気を使って、冷蔵・冷凍された食料品を売る事業を始めました。村の人に社員になってもらってお店の運営をお任せしたのですが、売上の3割がなくなる事件が発生。『現金をやめてデポジット型の電子マネーにすれば、なくならないのでは?』と考え、電子マネーを導入しました。すると、売上は誤差程度に。さらには、村の人が銀行のようにお金を預ける場所として活用するようになりました。銀行などがなかったため、今まではお金を土に穴を掘って埋めていたのですが、洪水で流されたり、シロアリに食われたりとトラブルが絶えなかったのだそう。でも、うちが電子マネーを始めたことで『お金を安全に保管できるようになった』と村の人は大喜びだったみたいです」

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Q4. 今後はこういう展開を目指すなどはありますか?

A.「日本でいうところの農業協同組合(以下、農協)のような体制をモザンビークで作ろうとしています。農協は、金融システムや病院、新聞など幅広く事業を展開し、トータルパッケージを成功させました。日本の村で仕事をしていると、どんな事業でも農協が担っている状態です。こうしたトータルパッケージが今のモザンビークには必要なんじゃないかと考えています。ただ、村には人材や資源が足りていません。そこで、金融や保険、病院などライフラインとなる仕組みや施設を導入し、ICTを活用してすぐに情報を受け取れるような体制を作ろうとしています。日本の既存の仕組みに技術を掛け合わせて事業を展開させていくことこそ、日本の起業家がアフリカに渡る意味があるのだと思っています」

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Q5. 「日本の未来はアフリカにある」とおっしゃっていましたが、その真意とは?

A.「現在のアフリカの姿は、20〜30年後に過疎化が進みインフラが機能しなくなった日本の過疎地域の姿と重なります。アフリカにはお金を保管・送金する仕組みがなかったので、私たちが作りました。一方、日本にはお金を安全に保管・送金できるシステムがあるので、今すぐに同じシステムは必要ありません。しかし、日本の20〜30年後、過疎化が進み、過疎地域から銀行が撤退する可能性だってあります。そんなときに、人や資源がなくても使える私たちの電子マネーや、これからやろうとしているデジタルな農協が必要になるかもしれません。インフラがない現在のアフリカで見つけたソリューションを日本に持って帰ってくる未来が、待っているかもしれないのです」

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