EX-Fusion松尾氏が語る、国家レベルのディープテック、レーザー核融合に挑む理由
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世界情勢が不安定な中で、各国ではエネルギーの奪い合いが起きている。エネルギー自給率が低く、化石燃料の大半を輸入に依存する日本にとって、エネルギー問題は大きなテーマでありつづけてきた。そこで注目されているのがフュージョン発電だ。フュージョンとは核融合のことで、核分裂を原理とする原子力発電とは一線を画した安全かつ低価格でエネルギーを作り出す未来の技術であり、同分野には世界中で多額の投資が行われている。日本でも、内閣府が打ち出した2030年代のフュージョン発電実証を実現すべく、世界に先駆けた最先端の研究開発がスタートアップをはじめとした民間企業でも進んでいる。
今回は、フュージョン発電に取り組むスタートアップEX-Fusionの共同創設者兼CEOの松尾一輝氏にお話を伺う。同氏は、子どもの頃からエネルギー問題に関心を持ち、大阪大学とカリフォルニア大学にて核融合の研究を行った後に、日本で同社を創業した。世界の核融合研究を大きく前進させた研究者であり、フュージョン発電の社会実装を担う起業家でもある。同社は2025年10月、シリーズAラウンド(エクステンション)において4億円の資金調達も実施した。
国家レベルのエネルギー問題に、スタートアップとしてどのように関わることができるのか。フュージョン発電によって、どのような社会課題が解決されうるのか。フュージョン発電についての説明に続いて、日本のビジネス環境を踏まえた突破の仕方や、スタートアップとしての事業戦略についてもお話をいただく。

松尾一輝
EX-Fusion CEO
大阪大学大学院博士後期課程理学研究科物理学専攻を修了し博士取得。在学時は高速点火方式核融合の研究に注力し効率的な核融合プラズマ加熱を実証。将来的な核融合の実現に貢献。大阪大学修了後はカリフォルニア大学サンディエゴ校で、核融合の研究に従事。
ポイント
・レーザー核融合は出力調整が容易で、火力発電の代替となる「ピーク電源」として期待される。輸入依存の化石燃料を国産エネルギーへ転換し、エネルギー自給率向上に寄与する点でも、国家戦略上の重要性が極めて高い。
・巨大な装置で出力を稼ぐ「磁場閉じ込め方式」に対し、日本の「レーザー方式」は装置の規模ではなく「効率性」で勝負する戦略をとる。大阪大学の技術は世界トップクラスのゲイン(入力に対する出力効率)を記録しており競争力がある。
・実用化の壁は、単発の核融合反応を「連続」させる技術にある。EX-Fusionは1秒間に10回(10Hz)の連続反応制御に成功。世界に先駆けて「繰り返す技術」を確立し、2030年代の発電実証を目指す。
・巨額資金が必要な炉の建設は行わず、コア技術である「レーザー制御」と「燃料供給」にリソースを集中するアセットライト戦略を採用。装置をモジュール化し、段階的に技術を確立することで資金調達の課題を突破する。
・2030年代の発電実証、その後の商用炉運用を見据える。レーザー関連部品の価格低下や技術革新も追い風。エネルギーが無尽蔵に使える未来を目指し、スタートアップならではの機動力で国家レベルの課題解決に挑む。
INDEX
・なぜ今、フュージョン発電が投資対象となるのか
・フュージョン発電ビジネスに向けた現在地――日本は規模ではなく効率性で勝負する
・EX-Fusionが担う、世界に先駆けた技術開発――研究と社会実装を担う
・社会実装を阻む「お金」の問題に、スタートアップとして向き合う
・国家レベルの社会課題に対して、スタートアップとして挑戦する秘訣
なぜ今、フュージョン発電が投資対象となるのか
――まずは、フュージョン発電について教えてください。
松尾:フュージョンというのは、ある圧力下で原子核同士をぶつけることで引き起こす反応を指します。たとえば太陽では水素同士のフュージョンが起こりつづけているのですが、それを地上でやろうとしているのがフュージョン発電ですね。
フュージョン発電の方式にはいくつかあるのですが、主流となっているのが「磁場閉じ込め方式」と「レーザー方式」です。磁場閉じ込め方式の代表例がトカマク型と呼ばれるもので、磁場の力で核融合反応を閉じ込めた上で一定出力を定常的に発電します。一方のレーザー核融合方式というのは、レーザーで燃料を圧縮加熱して瞬間的に核融合反応を起こし、その単発の反応を繰り返すことで発電するシステムです。
当社が取り組んでいるのは、この2つの方式の中でもレーザー核融合方式に当たります。
――それでは、貴社が取り組んでいるレーザー核融合方式についても分かりやすく教えてもらえますか?
松尾:レーザー核融合方式は、発電量のコントロールが容易なのでピーク電源[1]として期待されている技術です。定常的な発電方式でありベースロード電源として期待されている磁場閉じ込め方式の対を成すものですね。
レーザー核融合方式はピーク電源なので、火力発電の置き換えを念頭に置いて開発を進めています。いま、火力発電が日本の発電量の7割程度を占めており、その燃料はほとんどを輸入に依存しています。エネルギー自給率100%を目指す動きがありますが、この部分を国産化しない限り自給率100%は達成しえません。国産エネルギーを作りたいという軸で研究やビジネスを行ってきた私にとっては、火力発電をレーザー核融合で置き換えるのが重要だと考えています。
[1]ピーク電源・・・電力需要が急増する時間帯(ピーク時)に合わせて、発電量を増減できる、機動性の高い電源
――レーザー核融合方式の技術的な強み・弱みも教えてください。
松尾:効率性と、装置の大きさから、磁場閉じ込め方式と比較する形で説明すると分かりやすいかと思います。そもそも、磁場閉じ込め方式もレーザー核融合方式も、磁場やレーザーを用いて発電するので、「電気を使って電気を発電」する仕組みです。要するに、入力した電気に対して、それよりも大きな電気を出力することが商用化に向けた最低条件になってくるわけですね。
<レーザー方式の発電の仕組み>
①電気エネルギー(入力)をレーザー光に変換
②レーザー光をターゲットに照射して核融合反応を起こすことで熱エネルギーに変換
③得られた熱エネルギーを再び電気エネルギー(出力)に変換
効率性の面で言えば、「電気→磁場」の変換効率は50%程度であるのに対して、「電気→レーザー」は10%程度と、今の技術で言えば磁場閉じ込め方式の方が効率が良いんです。現時点ではレーザー核融合方式の効率性は遅れを取っており、核融合反応を介した反応効率(ゲイン)が10倍程度であったとしても最終的なアウトプット電力は入力時を超えられずに商用化は不可能となってしまいます。
――効率性の面でいえば実用化には程遠いということでしょうか?
松尾:ただし、それは現時点での話です。レーザー核融合方式における変換効率は確かに10%と低いものの、産業界で使われているレーザーの中には50%や70%といった高効率なものもあります。それらが核融合分野にも用いられるようになれば状況は変わると考えています。
また、もう1つのポイントとして、装置の大きさも重要です。磁場閉じ込め方式の場合、核融合を介したゲインを大きくするためには装置も大型化せざるを得ません。フランスにあるイーター(ITER)と呼ばれる巨大な実験施設は10倍のエネルギーを得ようとするものなのですが、それよりも大きなゲインを得ようとすると装置はさらに巨大化します。磁場閉じ込め方式の性質上、超電導コイルと炉が入れ子状に一体化されていることが巨大化の要因です。磁場閉じ込め方式のゲインは現時点では0.69倍が最高記録なのですが、これをどれだけ改善したとしても、出力の限界が見えてくると思います。
一方のレーザー核融合方式のゲインは、現時点では4.1倍を達成していて、1よりも大きな値をすでに得られています。将来的には、レーザー核融合方式のゲインは100倍から300倍程度は得られると予想されています。レーザーと炉が分離しているため、炉が元々小さくて済むことがその理由として挙げられますね。

――コストパフォーマンスの観点からいうと現実的であることは分かりました。ところで、フュージョン発電といえば安全性を危惧する声もあるかと思います。
松尾:一般的に、フュージョン発電は安全だと言われていますし、私もその通りだと考えています。ただし注意すべきなのは、数年に1回はメンテナンスが必要だということです。いわゆる原子力発電と同じように中性子を扱っていることには変わりはないので、放射化する中性子の扱いには注意が必要なんです。
その点でも、レーザー核融合方式にはメリットがあります。レーザー核融合方式はレーザー発振器と炉が分離しているので、炉が放射化したとしてもレーザー発振器には影響がありません。放射線管理区域を極小化できることは、レーザー核融合方式の利点の1つです。
また、レーザー核融合の場合、非常時には操業を完全に停止させることができます。核融合の場合には、外部からの圧力をかけなければ反応がそもそも起きないので、何かの拍子に装置の一部が破損するなどした場合には、瞬時に反応が止まるわけです。反応が止まるので暴発させようがないというのも、安全面では大きな特長です。
フュージョン発電ビジネスに向けた現在地――日本は規模ではなく効率性で勝負する
――世界的に見て、フュージョン発電の研究開発はどのような状況にあるのでしょうか?
松尾:フュージョン発電の歴史は磁場閉じ込め方式から始まっています。1950年代から研究開発が始まり、1990年代にはイーター計画が始動しました。イーターは2035年には竣工の見込みです。なお先ほど、炉の大きさが課題だというお話をしましたが、これに対してはMIT発のスタートアップが、磁場の力を強めることでイーターの5分の1サイズのスパーク(SPARC)と呼ばれる試験炉を作ろうとしています。ただし、スパークは炉材への大きなダメージが予想されるので耐久性やメンテナンス費用の問題が生まれてきます。いずれにせよ、イーターかスパークが立ち上がるまでは成果が出ないだろうというのが我々の予想です。
一方、レーザー核融合方式については、レーザーの原理が発明されたのが1960年頃だったこともあり、磁場閉じ込め方式から30年ほど遅れた1980年代後半から研究開発が始まりました。核融合反応を介するゲインは順調に伸び続けており、2020年には1.5倍、2025年には4.1倍という値になり、2030年頃までには30倍から100倍くらいまでは出せるようになると予想されています。レーザー核融合方式についていえば、発電実証のフェーズまで漕ぎつける可能性は高いと言えるでしょう。
――こうしたレーザー核融合方式の開発はどの国で盛んなのですか?
松尾:アメリカやフランス、中国、ロシアなど様々な国で研究されていますが、日本も良い位置に着けています。私が大阪大学のレーザー科学研究所で関わった研究がゲインの日本記録を出しているのですが、その記録が世界的に見ても2番手くらいの位置づけとなっています。

――日本は健闘しているのですね。レーザーといえば軍事起点の技術なので、遅れを取ってしまうのかと思っていました。
松尾:おっしゃる通り、レーザー核融合研究は、軍事技術に端を発することは確かです。レーザー核融合そのものが軍事に使えるわけではないとはいえ、研究予算が付きづらい側面も確かにありました。
そこで、日本は規模ではなく効率性で勝負することになりました。実は、日本には優れたレーザー技術があり、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所でも日本のレーザー技術が使われているくらいです。こうした高い技術力を活かして、世界初の大型レーザーを製造したのも大阪大学でした。戦略的に規模の追求はせず、効率を究めてきたのが日本のレーザー核融合開発の歴史です。
また、世界的に技術を分かち合うことを前提に始まったイーター計画とは異なり、レーザー核融合方式は国を超えた情報の共有は限定的です。それでも、日本はアメリカやフランスなどの国々と研究でも手を組み技術力を高めてきました。
EX-Fusionが担う、世界に先駆けた技術開発――研究と社会実装を担う10Hz連続運転
――理屈的には、ゲインを高めていけば社会実装に近づきそうなことは理解できました。ただ、研究所の実験でゲインを高めるだけで商用化には本当につながるのでしょうか?
松尾:ご指摘の通り、ゲインが高いだけでは社会実装には至りません。それでは何が必要かというと、高いゲインを得る反応を繰り返すことなんです。
レーザー核融合は、1秒間に10回から15回(10〜15Hz)の反応を繰り返す発電方法です。この反応を24時間連続で繰り返せるように運転しなければ、ギガワットレベル[2]の出力は達成できません。先ほどの大阪大学が開発した大型レーザーをはじめとして、世界中の研究機関では1回の反応でゲインがどこまで伸びるかというシングルショットの実験が主に行われています。しかし、これを繰り返せなければ社会実装は難しいというのは前述した通りです。
そこで私は、EX-Fusionを立ち上げました。当社の立ち位置としては、繰り返せる技術の開発を日本で初めてやろうというスタンスです。浜松にある拠点も、10Hzで連続的に反応させるべく、レーザーをきちんと制御して燃料に当て続けられる技術開発を進めているんです。
[2]1ギガワット・・・一般的に「原発1基分」として扱われる程度の規模。大都市が瞬間的に消費する電力規模。

――世界的に、シングルショットの実験ばかりが行われてきたということでしょうか?
松尾:その通りで、その課題を解決するのが当社の役割です。10Hzの実証実験を2024年に成功させましたが、私が知る限りでは世界で初めての成果だと自負しております。これに続けて、大出力のパルスレーザーを1時間にわたり連続して照射・制御する実験を浜松ホトニクスさんと共同で行い、2025年7月にプレスリリースを出しました。
――1時間の連続運転までは見えてきたということですね。ただ、数年間にわたって24時間体制で動かすこととは隔たりがあるように感じています。
松尾:確かに、磁場閉じ込め方式であれば、プラズマが高密度に充満する状態をキープしなければならないので、時間を延ばす難易度は高いでしょう。
ただ、レーザー核融合方式の場合は単発の現象を繰り返すだけなので、回数を増やすことはそれほど難しくないと考えています。1回の反応をブラッシュアップするのは物理の課題なのですが、それを繰り返すのは技術的な課題といえます。物理的に乗り越えるべき壁が残っている磁場閉じ込め方式に比べれば、レーザー核融合方式は技術面での課題解決に取り組めば良いので可能性は高いと考えています。
社会実装を阻む「お金」の問題に、スタートアップとして向き合う
――スタートアップの多くが抱えている悩みが、ファンドの償還期限までに成果を出せるのかという問題です。その時間軸はどのようにお考えでしょうか?
松尾:日本のスタートアップ環境はフュージョン発電とミスマッチなところがあるのも事実です。ファンドの償還期限が長くても10年に設定されていることが多く、さらに出資いただける金額もアメリカのVCに比べれば1桁・2桁は少ない状態です。
ただし、やり方を工夫すれば克服できる問題だとも思っています。もともとはアメリカで研究していた私が日本で起業したのは、国産エネルギーを作りたいという想いに加えて、日本で実際に勝ち目があると考えたからです。
磁場閉じ込め方式とは異なり、レーザー核融合方式の装置はモジュールに分けられます。1つの炉に対してレーザーを200本くらい並べるのが最終形なのですが、200本のレーザーは技術的に同じものなので1本だけを作ることにも価値があるんです。200本作るのは資金的に無理でも、1本をきちんと作って完璧に制御するのであれば可能だと考えた上で、2030年までにそれをやり切ると宣言しています。
――1つのモジュール完成をマイルストーンにして、ビジネスをゆくゆくは大きく展開していくという理解でいいですか?
松尾:その通りです。モジュールはきちんと作り切って、あとはお金さえあればフュージョン発電ができると示すところまでを2030年までにやりきるつもりです。もちろん、ビジネスとして捉えたときにレーザー核融合の市場がどの程度あるかというのは誰にも分からないわけですが、我々の技術が生かせるキャッシュポイントを見極められれば一定の売上は確保できるのではないかと思っています。
国家レベルの社会課題に対して、スタートアップとして挑戦する秘訣
――松尾さんは、もともとは研究者だったかと思います。起業家を志された理由は何だったのでしょうか?
松尾:皆さんから見れば研究者から起業家へのキャリアチェンジを行ったと思われるかもしれませんが、私自身はそのようには考えていないんです。
子どもの頃を振り返ると、物心ついたときから「日本のエネルギーは限られているから省エネしましょう」と盛んに言われつづけてきました。確かに、日本は毎年、莫大な金額を掛けてエネルギーを輸入していることは事実ですが、それであれば「エネルギーが無尽蔵に使える未来はどのようなものだろう」と考えたんです。どちらかといえば、エネルギーは無尽蔵だからどんどん使いましょうという世界の方が好ましいと考えて、日本で唯一、レーザー核融合に取り組んでいた大阪大学大学院でレーザー核融合の可能性に触れました。
――逆転の発想ですね。そして、エネルギーが無尽蔵に使える未来は確かに魅力的かもしれません。
松尾:もともとはアメリカで成果を残して、その成果を日本に持ち帰って研究開発を進める心づもりでした。ところが、ご縁があって投資の話が舞い込んできたことで気持ちが変わり、投資を受けられるなら日本で研究開発したほうが近道だと考えたんです。投資の話があった1週間後に、当時働いていたアメリカの大学の研究室に辞表を出して日本に戻ってきました。そうした背景もあったので、キャリアチェンジしたという実感はなく、レーザー核融合を効率よく行うための限られた選択肢を選んだという感覚です。

――そこでEX-Fusionを立ち上げて、フュージョン発電の社会実装に向けてビジネス的に準備を進めてきたということですね。この先の展望も教えてください。
松尾:10Hzの連続照射には現時点で成功しているので、2030年代には発電のデモに漕ぎつけると思っています。内閣府のフュージョンエネルギー・イノベーション戦略にも、世界に先駆けて2030年代に発電実証を目指すと明記されていますので、それに対して全力で貢献していくスタンスです。
その先には、商用炉としての運用も当然ながらありえます。レーザー核融合研究の良いところは、全ての要素において良くなることしか考えられないことだと思います。たとえばレーザーの価格の大半を占めるレーザーダイオードの値段は、5年で1桁下がっているんです。電気からレーザーへの変換効率も改善されていますし、レーザー制御の正確性は当社も尽力してどんどん上げています。商用化を目指して上り調子で発展している分野だとご理解いただけたらうれしいです。
――ありがとうございます。最後に、スタートアップとして、成長に向けたTipsがあれば教えてください。
松尾:アセットをライトにしておくのは重要だと思っています。たとえば先ほどのお話でモジュール製作に注力すると申し上げましたが、炉の製造にも手を出した方が本当は良いのかもしれません。しかし炉自体には結構なお金がかかりますし、エネルギーを生みだすまでは使い道がありません。そこで、炉に投資することは創業当初は行わないと決めました。
また、レーザー発振器自体も決して安くはないため、他社さんと協業しつつ、コアであるレーザーの制御装置とターゲット供給装置だけにアセットを絞りました。最近は資金も徐々に集まるようになったので共同研究の形で核融合炉にも関わっているのですが、基本的にはアセットライトな状態を作るように心がけています。
――最初からすべてを取りに行くスタートアップもありますよね?
松尾:いろいろなファンドの方にご意見をいただいたんですが、2つのパターンがあると思っています。我々とは違うもう1つのパターンが、おっしゃるように1社で全部をやろうとするものです。大きな夢を語って資金を集め、最初から全部できるように座組を整えていくケースですね。
当社がその道を取らなかったのはマーケットが現時点では存在しないからなのですが、その結果として取材をいただいたときには「産業創出でコツコツと成果を追い求めている」と評価をいただきました。「コツコツ」という言葉はスタートアップらしくないかもしれませんが、それでもその記事を読まれた取引先からはEX-Fusionらしいと言われました。モジュールの製造は技術の勝負なので、信頼関係をきちんと醸成して、段階を踏んで技術開発を行えば日本でも勝負できると考えています。
企画:阿座上陽平
取材・編集:BRIGHTLOGG,INC.
文:宮崎ゆう
撮影:阿部拓朗