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First Penguin vol.11 株式会社アクセルスペース 中村友哉が語る「誰でも宇宙からの情報を!超小型衛星ビジネスとは?」

読了時間:約 4 分

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「衛星ビジネス」と聞くと、身近ではないし難しそうで自分とは関係ない世界と思ってしまいませんか?ですが、考えてみれば、スマートフォンやカーナビに使われているGPSも、天候データもすべて衛星技術を使っているもの。今や衛星画像は、私たちにとってなくてはならない存在なのです。

今回お話を伺ったのは、超小型衛星の設計・製造・取得データに関する事業を行う、株式会社アクセルスペース代表取締役の中村友哉さん。衛星データを活用することで、農業や林業、漁場探索などで今までの探知をより広く、頻繁にデータを集めることが可能になると言います。中村さんが考える、衛星データの役割と、衛星が生み出す価値についてお話を伺ってきました。
新しい分野に果敢に挑戦するスタートアップ経営者を未知なる海に真っ先に飛び込む1羽のペンギンになぞらえてインタビューする「First Penguin(ファーストペンギン)」。更新しているのは、Fintechに関連するプロジェクトやコミュニティ、施設を運営する株式会社FINOLABです。
「衛星ビジネスとは、ふりかけである」と語る、中村さんが捉える衛星ビジネスの形にもぜひご注目ください。

「誰でも宇宙からの情報を!超小型衛星ビジネスとは?」インタビュー斜め読み

ここではインタビュー動画本編より5つのやりとりを簡潔にまとめました。回答に対する中村さんの思惑を深掘りしたい方は、ぜひ該当箇所がスポット再生されるURLよりご視聴ください。

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Q1.アクセルスペースの事業内容を教えてください

A.「主に100kgクラスの超小型人工衛星を作り、必要なデータ解析・情報抽出を行いお客様にお届けしています。衛星データは、農業であれば作物の生育状況を把握したり、森林であれば違法な伐採を見つけたり、国際空港の建設状況を把握したりと、さまざまな産業分野で使われています。宇宙から撮影できるので広域のデータを分析したい時に最適なツールです。オペレーションのために人を入れなくても良いので、画像1枚あたりのコストが安く済むこともメリットですね」

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Q2.他の会社とはどのように差別化を図っているのですか?

A.「私たちが作る衛星は超小型のもの。小型の特性を活かして毎日でもデータを分析できることが特徴です。大型衛星であれば高性能なセンサーや紫外線が見えるセンサーをつけることができますが、超小型の衛星では難しいのが現状です。そこで超小型の人工衛星にしかできないことを考え、撮影頻度を上げることに辿り着きました。例えば、農業の場合、高性能のセンサーも大事ですが、頻度も大切。植物の生育状況を観察するとしたら、2週に一度ではなく、毎日見たいんですよね。このように撮影頻度という別軸を作ることで差別化を図っていければと思っています」

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Q3.衛星ビジネスを始めたのは、どのような理由だったのでしょうか?

A.「教授からの誘いがきっかけです。大学3年生の学科選択の際に、今だからこそ出来る、将来はできないようなことをしたいと思っていたんです。そんな時に、航空宇宙工学科の先生が学生と手作りの衛星を作っていると話してくれて、ワクワクして学科を選びました。思い返せば、この選択が衛星分野にハマったきっかけですね。その後、研究者になるつもりはなかったのですが、衛星を作りたいがために博士課程まで進学。研究室に居た6年間で6つの衛星に携わりました。卒業する際に研究を続ける手段がなく諦めかけていましたが『大学発ベンチャーをやらないか』と誘われて事業として始めることになりました

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Q4.研究室ではエンジニアリング一本だったと思うのですが、事業の立ち上げにあたってはビジネス面でどのような苦労がありましたか?

A.「創業前は営業に行っても『他に衛星打ち上げたところあるの?』とあしらわれることが多かったですね。何社か営業をしてみた後、何とかウェザーニュースから『北極海の氷を観測できる衛星が欲しい』と依頼をいただいたのですが、それ以降も営業活動はうまくいきませんでした。『まずは実績を作らなければ』と、とにかく衛星を打ち上げることに注力。5年後にようやく打ち上げに成功しました。その後、カスタマイズされた衛星を作ることはお客様にとってもハードルが高いと感じ、解析したデータを販売する方法も取り入れるようになりました」

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Q5.「衛星ビジネスとは、ふりかけである」とおっしゃっていましたが、どういう意味ですか?

A.「衛星ビジネスは、衛星データだけでなく、さまざまなデータを組み合わせないと利用してもらえません。例えば、農家向けのアプリケーションを作るとなった時に植物の生育状況が分かるだけでは購入してくれない。でも、天候状況や作業状況などの情報もインテグレートして渡すなど、他のデータと組み合わせることで使ってもらえる可能性が高くなると考えています。衛星データはふりかけみたいな役割です。これを実現するために、まずは使いやすい仕組み作りに力を入れていこうと思います」

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