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企業のチームビルディングに貢献する「遊び」を提供。アクティビティ事業を行うIKUSAが語るサービス設計の工夫――Founders Night Marunouchi vol.23(オンライン)

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※本稿は「EGG JAPAN」に掲載された記事を転載したものです。

2021年2月24日、三菱地所が運営するEGG JAPANのビジネスコミュニティ「東京21cクラブ」と、イベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」が共同開催する「Founders Night Marunouchi」を実施しました。(過去のイベントレポートはこちら)。

このイベントは、スタートアップの第一線で活躍する経営者から学びを得るもの。

今回登壇いただいたのは、株式会社IKUSA代表取締役の赤坂大樹さん。同社は、デジタルマーケティング関連の事業を展開しつつ、企業や自治体向けに「遊び」をコンセプトにした体験型イベント事業も行っています。

主力イベントの一つ「チャンバラ合戦-戦IKUSA」は、スポンジの刀で相手の腕についた命のボールを落とし合う合戦アクティビティ。参加者同士の交流促進やチームビルディングの効果があり、まちづくりや企業での研修に活用されています。しかし2020年は新型コロナの影響でリアルイベント開催が困難に。そこで、リモートワーク実施中の企業向けのキックオフミーティングや全社レクリエーションに活用できるオンラインイベント事業を立ち上げました。

さまざまな遊びで、企業の課題解決に貢献するIKUSA。今回は、遊びを企業のニーズに合わせてどのように提供しているのか、サービス設計の工夫などを伺いました。Peatix Japan 取締役 藤田祐司さん、東京21cクラブ運営統括の旦部聡志がモデレーターを務めました。

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楽しんで、感謝もされる。そんな仕事を続けたい。
柔軟性の高い組織づくりが、事業成長の鍵に

楽しんで、感謝もされる。そんな仕事を続けたい。

前職では、キーエンスでFA機器の営業販売を行っていた赤坂さん。独立を考えた際に、これまでの経験を生かして新たな仕事に挑戦したいと考えました。そこで、2012年にIKUSAの前身となるWebコンサルティング会社、TearsSwitchを共同創業しています。

その後、NPO法人ゼロワンが運営するチャンバラ合戦-戦IKUSAに出会ったことをきっかけに、「遊び」が持つ可能性に気が付いたそう。ゼロワン副理事に就任するとともに、TearsSwitchにおいて同イベントの事業化を推進することにしたのです。

「チャンバラ合戦-戦IKUSAを見て、参加者がお金を支払って参加しているのに、終わった後には運営メンバーに向けて、感謝を伝えてくれることに衝撃を受けました。人のためになることをして、楽しんで、感謝もされる。それを仕事にできればと思ったんです。

一方で、NPO法人として活動する中での課題もありました。運営メンバーは良い人が多かったのですが、反面フルコミットすることができず、推進するにはリソースが足りない状況でした。人に感謝される『遊び』を本気で、持続可能な形にするため、TearsSwitch(現IKUSA)で事業展開をすることにしました」

2016年には、岐阜県可児市の地域活性化事業として、「戦国城跡巡り事業-可児市の乱-」を展開。子どもたちに歴史の興味を持つきっかけを与え、大人には地域への愛着を喚起させることを狙い、年間20回以上のチャンバラ合戦-戦IKUSAを実施しています。レクリエーションや研修における需要も増え、年間100件以上の実施が行われる事業となりました。

今では、チャンバラ合戦-戦IKUSAの他、「おうち防災運動会」や「謎解き脱出ゲーム」など、さまざまな種類の遊びに関するサービスを提供するようになっています。


「戦国城跡巡り事業-可児市の乱-」のイメージ写真

柔軟性の高い組織づくりが、事業成長の鍵に

次に、モデレーターから「企業のチームビルディングやレクリエーションなどターゲットの幅が広がる中で、変わらず工夫をされていることは?」という問いが投げかけられました。

「クライアントが求めるニーズの多くは、“みんなが楽しめる”コンテンツにしてほしいということです。そのため、初めて参加する人が不利になったり、体力が勝る人が有利になったりしないよう、老若男女が楽しめるコンテンツ制作にこだわっています」

たとえば、チャンバラ合戦-戦IKUSA-では、1チームにつき1人のアドバイザーを配置。大人数参加型の謎解き脱出ゲーム『リモートワーク謎解きチームビルディング』でも、各チームに必ず巡回スタッフを配置するなど、参加者へのフォローを大事にした運営を行っています。

順調に体験型イベント事業の拡大を進めてきたIKUSAですが、新型コロナの影響でイベントの大半を中止せざるを得なくなりました。感染拡大が進んだ2020年3~5月には予定されていた60件以上、総額数千万規模のイベントが全てなくなったそうです。

4月には新入社員が5人入社したにもかかわらず、6月までは仕事がなくなった状態に。赤坂さんは悩み続けた結果、コロナ禍ではあるものの、スタートアップだからこそ顔を合わせて話をしようと、各地のメンバーを全員東京に呼び、議論を重ねていきました。

「議論をしていった結果、生まれたアイデアの一つが、今成長しているオンラインイベントです。いざオンラインイベントをやると決めた後、組織的に素早く動けたことが成長できたポイントだったと考えています。今やるべきことを決め、これまでやっていた業務に関係なく、割り振っていったんです。たとえば、Webチームをシステム開発の担当にしたり、セールスのメンバーをコンテンツ開発担当にしたり。1年間で15個ほどオンラインイベントをゼロから作ったのですが、まさに第2創業期といえるほど大変でした」

こうした積み重ねにより、同社は前年を超える売上を実現し、社員もさらに10人採用。その大きな鍵となった組織づくりについて赤坂さんは最後に語り、イベントは締めくくられました。

「IKUSAには、すごい才能を持ついわゆる「バズる」イベント開発者がいるわけではありません。だからこそ、開発の意思決定の起点を、クライアントの声を直接聞いているセールスやイベントチームにすることで、ニーズに応えるコンテンツ作りを心がけています。最初から完璧なイベントを目指しますが、サービスローンチ後も、クライアントやメンバーの声を反映して、サービスをアップデートをし続けています。大ヒットしているオンライン謎解き「リモ謎」は、その結果、英語対応やファミリー参加、難易度調整などができるサービスになりました。高回転PDCAを回せるのも当社の強みと考えています。

また、クリエイター兼セールスのように、スタッフは得意領域を2つ以上持つことを推奨しています。これにより、オンラインイベントの開発も、ポジション関係なく全員が得意な領域を生かして作り上げました。リモートワークの需要が例え終わったとしても、ニューノーマルな時代に必要なチームビルディングの方法を必ず見つけてご提案していくと思います。変化の多い時代だからこそ、私たちが提供する『遊び』が役に立つのかなと思っています」

●転載元記事:https://www.egg-japan.com/event_report/4398