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女性起業家が活躍できる社会へ。Yazawa Ventures代表に訊く、シード特化型ファンド立ち上げの軌跡───Founders Night Marunouchi vol.40

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2022年6月27日、三菱地所が運営するEGG JAPANのビジネスコミュニティ「東京21cクラブ」が主催する「Founders Night Marunouchi vol.40」を実施しました。(過去のイベントレポートはこちら)。

このイベントは、スタートアップの第一線で活躍する経営者の経験から学びを得るもの。
今回ご登壇いただいたのは、株式会社Yazawa Ventures代表取締役CEOの矢澤麻里子さんです。

Yazawa Venturesは、「働き方」の変革に挑むスタートアップを中心に出資する、独立系VCです。

矢澤さんは「より多くのスタートアップが成長する環境を日本で創出できなければ、未来は良くならないのではないか?」という危機感から、ベンチャーキャピタリストの仕事に着目。海外のVCでインターンを経験後、サムライインキュベートでスタートアップ70社以上への出資や、Plug and Playの日本支社立ち上げなどに携わりました。そして出産を経て、2020年にYazawa Venturesを立ち上げました。

今回は、矢澤さんがVCを立ち上げた経緯や女性起業家として抱える課題、起業に至るまでの苦労について、お話を伺いました。

モデレーターを務めたのは、東京21cクラブ運営統括の旦部聡志と運営担当の鈴木七波です。

INDEX

Yazawa Venturesは、「働き方」の変革に挑むスタートアップを中心に出資する、独立系VCです。
女性起業家を増やすために必要な「エコシステム」

女性の「働く」を支援しなければ、日本は変われない

Yazawa Venturesは、『この国にもっと「働くよろこび」を。』をビジョンに掲げるVCです。企業や組織、個人などの「働き方」に関わる課題解決に挑むスタートアップに対し、積極的に投資しています。

なぜ「働く」に特化しているのか?その理由について、矢澤さんは以下のように語ります。

矢澤さん「日本のGDPは、ここ数年横ばいが続いています。少子高齢化によって、さらに働き手が減っていくと予想される中で、『働く』環境の改善こそが、GDP向上の鍵になるはずです。

特に女性活躍やダイバーシティに関しては大きな課題があります。働く女性の人口を増やしたり、所得を増やしたりできれば、少しでも日本のGDP向上に貢献できるのではないかと思っています。


<株式会社Yazawa Ventures代表取締役CEO 矢澤麻里子さん>

そうした課題は、女性起業家の活躍にも大きな影響を与えています。その上で、私が注目したのは女性起業家に投資をするファンドや投資家の存在でした。

それらがより増えていけば、女性がより起業しやすくなる環境を作れるのではないか。そうした考えから、Yazawa Venturesでは女性活躍やダイバーシティに力を入れるスタートアップに積極的な投資を行っています」

矢澤さんは、サムライインキュベートやPlug and Playでスタートアップへの投資に従事していた際に、「なぜ日本ではここまで女性起業家の数が少ないのか?」と疑問を感じていたと言います。その理由を最も実感できたのは、矢澤さんご自身が出産を経験した時だったそうです。

矢澤さん「ファンドを立ち上げる前から『女性の起業家やベンチャーキャピタリストを増やしたい』と周囲に伝えていました。しかし、自分の出産を機にその考えが甘かったことに気づかされました。

VCを立ち上げようと準備を始めたころに妊娠が発覚し、その後Plug and PlayのCOOを退任しました。出産後は半年ほどの休暇を経て、すぐにファンドレイズを行い、子どもが1歳を過ぎるタイミングでファンドの立ち上げに至りました。

この経験を通じて、出産や子育てと並行しての起業は十分なサポート体制が整っていない限り、かなり大変なのではないかと感じました」

女性起業家を増やすために必要な「エコシステム」

Yazawa Venturesの立ち上げ期から現在に至るまで、さまざまな役割を自ら担いながらファンドを運営する矢澤さん。視聴者から「出産後半年の休暇を経て、すぐに起業へ向けた準備をされています。パートナーの協力があったからこそ動き出せたのでしょうか?」と質問が投げかけられました。

矢澤さん「まさしくその通りですね。子育てをしながらの起業は、それだけの難しさが伴うものだと思います。

加えて、女性起業家の離婚率は高いようにも感じています。結婚当初は夫婦仲が良かったものの、起業にチャレンジして事業が軌道に乗り始めると、パートナーの理解を得られなくなることが多くあります。女性起業家が活躍していく上で、パートナーの理解をどう得るかは課題の一つですね」

VCの数は増え続ける一方で、女性が独立系のファンドを立ち上げた例は矢澤さんが国内で初です。モデレーターの旦部は「ファンドレイズで資金を集めるのに、苦労はあったのでしょうか?」と矢澤さんに問いかけました。

矢澤さん「苦労は数多くありました。それでも、サムライインキュベートやPlug and Playで働いていた時代から応援してくださる方も含め、多くの人に支えられ乗り越えられたと感じます。

弊社が運営するファンドの特徴の一つが、LPに女性が多いことです。一般的に、男性起業家の方が資金調達に成功しやすいと言われているのですが、Yazawa Venturesの場合は良い意味でアンコンシャス・バイアスが働いていると思います。『矢澤さんがやるのだったら、ぜひ出資するよ』と言ってくださる方もいました。

国内に目を向けても、女性起業家の数はさらに増え続けています。今後、その数はさらに伸びていくと予測されています。

おそらく、5年後には男性起業家のみならず、女性起業家も活躍できるエコシステムが今以上に形成されているはずです。LPをはじめ、Yazawa Venturesを応援してくださる方とともに、私たちもそうしたエコシステムの形成に寄与していきたいと考えています。」

最後に、矢澤さんは以下のように視聴者に呼びかけ、イベントを締めくくりました。

「スタートアップにとっていわゆる0→1のフェーズ、シード期を乗り越えることには、非常に大きな苦労が伴います。だからこそ、VCをはじめとした、より多くの支援者が必要だと考えています。起業にチャレンジしたい、しようとしている方がいれば、ぜひ私にご相談ください!

▼当日のセッション
女性起業家が活躍できる社会へ。Yazawa Ventures代表に訊く、シード特化型ファンド立ち上げの軌跡』
https://youtu.be/zq1Hhordung