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First Penguin vol.5 株式会社すむたす・角高広の考える「日本のくらしの将来とは?」

読了時間:約 4 分

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「一生のうちに何度も家を売買できる世界をつくりたい」。そう話してくれたのは、中古不動産の買取と直販をする、株式会社すむたす代表取締役の角高広さん。新築を建てる人が多い日本と違い、欧米は中古物件を何度も買い替える人が多いからこそ、不動産に関する捉え方が違うといいます。新卒入社以来、不動産テック業界に携わってきた角さんが、不動産という在庫を持つリスクを背負って始めた「すむたす」の事業。そのきっかけから、欧米と日本の意識の違い、目指したい未来についてお話を伺いました。

このインタビューは、新しい分野に果敢に挑戦するスタートアップ経営者を、未知なる海に真っ先に飛び込む1羽のペンギンになぞらえて実施したもの。更新しているのは、Fintechに関連するプロジェクトやコミュニティ、施設を運営する株式会社FINOLABです。スタートアップ経営者に話しを聞くYouTube「First Penguin(ファーストペンギン)」でも公開しているので、動画もあわせてぜひご覧ください。
起業のひとつの理由として「理想を妥協なく追求する組織を作りたかった」と語る角さんの組織づくりにもぜひご注目ください。

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「日本のくらしの将来とは?」インタビュー斜め読み

ここではインタビュー動画本編より5つのやりとりを簡潔にまとめました。回答に対する角さんの思惑を深掘りしたい方は、ぜひ該当箇所がスポット再生されるURLよりご視聴ください。

Q1.まずは、株式会社すむたすの事業内容を教えていただけますか?

A.「不動産売買が可能な『すむたす買取』と、『すむたす直販』を運営しています。お客様から購入した不動産をリノベーションして、求めている人に販売する事業です。最たる特徴は、AIを用いた独自の価格算定と、仲介会社を経由しないこと。通常、不動産を売る際、査定だけで1週間くらいかかってしまいますが、『すむたす』の場合は最短2日。首都圏だと過去40年分くらいの不動産取引のデータを持っているので、こうしたデータに人口動態などの予測データを加え買取額・売値を算出しています。また、仲介会社を入れずに直接販売をしているので、より早く、より安く販売することが可能です」

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Q2.なぜ、すむたすのような中古物件を直接販売するサービスをしようと思ったのでしょう。

A.「これから人口が減っていく日本で、空き家が増えてくることは確実です。これを解決できるサービスはないかと探していたときに、海外で先行して行われていた仲介会社を挟まずに売買を行うビジネスモデルの『iBuyer』を見つけたことがきっかけでした。日本では8〜9割が新築の家を購入する傾向にあり、中古を購入する人はあまりいません。しかし、欧米はその逆で中古を買う人が8〜9割。『海外と同じように中古の購入が一般的になれば、空き家の問題は解決するのでは?』と考え、起業しました」

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Q3. もう一つの起業の理由でもある組織の観点ではどのような特徴があるのですか?

A.「新卒で入社した会社では40人ほどいるチームの責任者をしていたのですが、理想を妥協なく追求するために『ゼロから組織を作りたい』と思って会社にした部分もありました。その組織づくりのときに概念的に参考にしたのが、メンバー各々が自己決定を行うティール組織。ただティール組織の要件をすべて満たすと、それはそれで凝り固まった組織になってしまうので、独自のルールを作りながら運営しています。組織づくりの7割は「エントリー」、つまり採用活動にあると思っているので、面接した人全員の意見が一致しない限り採用はしないなど、主観的に採用することを大切にしています」

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Q4.先ほど、海外だと中古を買う人が多いとお話されていましたが、海外と日本の感覚の違いはなぜ出てくるのでしょうか?

A.「経済合理性と人の気持ちだと思います。今の日本だと新築で家を建てて20年を超えると、建物の資産価値がほとんどなくなってしまいます。そうすると、売っても得にならないので、売らない人が多い。売ることに対する見返りが少ない世の中になっているんです。あと、日本人は『新築を買わなければ』という気持ちを持っている人が多いのだと思います。それでも、若い人はコストパフォーマンスを意識するようになったので、『すむたす』を通して購入するのは30〜40代、売るのは40〜50代が多いですね」

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Q5.「日本のくらしの将来とは、タカアンドトシである」とおっしゃっていましたが、その真意とは?

A.「『欧米化』が進んでいくのではないかなと。欧米の感覚では、生涯のうち何度も家を売って家を買うことが当たり前なんです。一方、日本で家を買おうとすると、50年くらいをコミットしなければいけない感覚です。これを欧米の感覚に徐々に近づけていき、『10年で売ってこのくらいの価格なら中古で買おうか』という選択肢も提示していければと思っています。今の日本では家を流動する資産として考える人は少ないのですが、預金や株と同じように自宅を流動性のある資産とするような価値観にアップデートした未来をつくっていきたいですね」

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