人生の一番大きな買い物とも言われる住宅。住宅購入に際しては、どの住宅ローンなら借りられるのか、金利タイプはどれを選べばいいのか、繰上げ返済をした方がいいのか、借り換えをしたら得するのか、など考えることはたくさんあります。しかし、最適な住宅ローンを選ぶためには多くの情報や知識が必要となり、専門家でもない私たちには大変です。
こうした悩みをオンラインで気軽に解決できればと、オンライン住宅ローンサービス『モゲチェック』を開発・運用しているのが、株式会社MFSです。「住宅ローンを必要とする全ての人が、最も有利な条件で借り入れ、借り換えできる」。そんな世界の実現を目指し、サービス開発に取り組んできたスタートアップです。
今回お話を伺ったのは、株式会社MFS代表取締役の中山田 明さん。オンライン型住宅ローンサービスを拡大することで、ユーザーは自分たちのアセット(資産)を管理することが可能になるといいます。
今回は、中山田さんが考える『モゲチェック』の価値と、オンライン型住宅ローンサービスの可能性についてお話を伺いました。
新しい分野に果敢に挑戦するスタートアップ経営者を未知なる海に真っ先に飛び込む1羽のペンギンになぞらえてインタビューする「First Penguin(ファーストペンギン)」。更新しているのは、Fintechに関連するプロジェクトやコミュニティ、施設を運営する株式会社FINOLABです。
「アセットを管理し家計のアップデートを オンライン型住宅ローンサービス」インタビュー斜め読み
ここではインタビュー動画本編より5つのやりとりを簡潔にまとめました。回答に対する中山田さんの思惑を深掘りしたい方は、ぜひ該当箇所がスポット再生されるURLよりご視聴ください。
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Q1.最初にMFSが何をしているか教えてください。
A.「住宅ローンを借りたい人と銀行をオンラインで結びつける、オンライン型の住宅ローンサービス『モゲチェック』の運営をしています。通常、住宅を購入するときは不動産屋から住宅ローンの案内を受けて購入するケースが多いのですが、最近はインターネットで金利などを調べられることもあり、オンラインで申し込むケースも増えてきています。しかし、実際はローンの審査があり、必ずしもその金利で自分が借りられるわけではありません。一方、我々はお客様の情報をもとに全国の金融機関124銀行の1000本以上の住宅ローンのデータから、金利の低さや付帯する生命保険などさまざまな側面を鑑み、お客様に適した銀行を何社か選んでご紹介しています。事務手数料や保証料など付帯費用も合わせて、最終的にいくら返済すのかを計算。審査が通りそうなところから金利タイプ別にランキングで分かるようにしています」
Q2.『モゲチェック』をつくった背景を教えてください。
A.「住宅ローンを借りるときにユーザーと金融機関の間に入って借り換えのアドバイスができたらいいのではないかと考えたことがきっかけです。私は元々、証券会社で住宅ローンの証券化を担当していました。当時、アメリカだと日本と違って、0.5%金利が下がると一気に住宅ローンが借り換えられてしまうような状況でした。それは、ブローカレッジと呼ばれる金融機関とユーザーの間に入って取り持つ産業があるから。金利が下がると、一斉にユーザーに借り換えのアプローチをするのです。日本ではまだこうした動きはなかったので、借り換えもできるサービスを作ろうと『モゲチェック』開発に取り掛かりました」
Q3. ビジネスの仕組みはどうなっているのでしょうか?
A.「お客様により適した住宅ローンをご紹介し、ユーザー側からお金をいただくモデルです。日本では企業からお金をもらうエージェント型のビジネスモデルが多いため、ユーザー側からお金をもらう仕組みでスケールをさせるのは結構難しいのが現状です。ただ、我々は銀行に送客している立場でもあるので、紹介したお客様については金利を下げる、事務手数料を値引きするなど、なんらかの形でお客様が我々に支払うフィーを相殺できれば、気持ちよくフィーを払ってくれます。総返済額は平均300万円くらい引き下げられていますし、お客様としては得になるんです。また、がん団信や8大疾病など生命保険が充実しているところも増えています。保険には住宅ローンを借りた人しか入れない保険もあります。さらに、ローンを組む段階で仕事や健康状態も審査されるので、一般的な生命保険より保険料が安くなります。お客様にはこうしたメリットを感じていただいて、対価としてフィーをお支払いいただいています」
Q4.一般的に対面で行われる住宅ローンサービスをオンラインにした経緯を教えてください。
A.「最初は店舗を持って対面でサービスを展開していました。20〜30万円のフィーをもらうサービスなので、非対面で行うイメージがつかなかったんですよね。ただ、お客様の中で遠方の方がいて、電話で問い合わせを受けるようになり、電話で話しても受けてくれる方がいることが分かり、2020年2月からオンライン型で始めることになりました。現在は、不動産会社向けのサービス『モゲビズ』も運用しています。最近は、『お客様が自分で住宅ローンに申し込んでしまう』など不動産側も困っていることは多いのが現状です。お客様が自分で申し込んで審査に通れば問題ないのですが、審査に落ちてしまうと不動産の商談自体が破断になってしまうのです。そんな時に複数の銀行と連携している『モゲビス』を使えば、審査が通るかどうかも判断できるようになるのです」
Q5.今後、どんな世界を目指していますか?
A.「個人情報が統合されることで、不動産を探して借りるまでのフローがスムーズに進められればと思っています。まだ住宅ローンを借りるとなると住民票などの紙資料が必要です。ただ、それらがすべてマイナンバーで統合されるようになると、審査もデータ化で進むのでスムーズになりますよね。現在、我々のサービスを使ってくださったお客様に住宅ローンのダッシュボードを提供しています。自分のローンや年収、住所を入れておくと、住宅の価値がわかるようになるんです。今家を売るといくらで売れて、いくらのお金が残って純資産はいくらなのか。現在の金利や変動金利、将来の金利がどう動いていくかがわかるようになっています。このようにアセットをオンラインで管理するような仕組みを今後も展開していきたいです」
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