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夏に差がつく?就活生なら知っておきたい、損するインターン・得するインターン

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※本稿は「FASTGROW」に掲載された記事を転載したものです。

「漠然とした不安はあるけれど、何から始めたらいいのかわからない…」

はやくも本格的な夏の到来を感じる季節となった。
夏——それは大学3年生にとって、人生を大きく左右する特別な季節。そう、多くの学生が就職活動に向けて動き出す、最初の勝負の時期だ。

しかしながら、2020年にはコロナ禍の影響による内定取り消しのニュースが相次ぎ、度重なる外出自粛要請によって社会や周囲の動きも見えづらくなった。

そんななか不安を抱える学生の皆さんにぜひオススメしたいのが、7/7に開催を予定している「Next Entrepreneur’s Meetup」。スタートアップ企業とインターン希望の学生をつなぐ三菱地所主催のイベントで、今回で6回目の開催となる。

なぜスタートアップ……?なぜ長期インターン……?

当然湧いてくるであろうそんな疑問に答えるべく、今回は1年前の同じイベントに参加し長期インターンを経験、見事志望企業への内定を勝ち取った22卒の学生2人を取材。イベントの魅力や、就活生が長期インターンを経験するメリットについて、率直に語っていただいた。

INDEX

事前に把握して挑みたい、オンライン就活の活用術と落とし穴
1day等の短期インターンは、結局ただの「採用イベント」にすぎないと感じた
「法学部の私が宇宙を科学する」大学や新卒入社先では得難い、長期インターンならではのギャップ体験
「長期インターン=アルバイト」としか思っていないなら、まだまだ就活素人。プロは大人の技を盗みにかかる
長期インターンとは、就活における“自信”を手に入れる場所
「とりあえず参加してみよう」良い出会いは意外とそこから生まれるもの

事前に把握して挑みたい、オンライン就活の活用術と落とし穴

今回お話を伺ったのは、周囲の学生より一足先に就職活動を終えており、現在「AI×宇宙」の領域で事業を手がける株式会社スペースシフトにてインターン中の鈴木 涼太さんと渡邉 桃衣さん。それぞれ大手建設会社とファッションECサイトを運営するベンチャー企業への内定を獲得している状況だ。

コロナ禍というイレギュラーな状況における就職活動は、いったいどんなものだったのか。まずは2人に、全体を振り返ってみての感想を聞いた。

鈴木:「僕はゼネコンに内定を頂き、そこに入社しようと思っています。情報系の職種での採用で、社内のDX化を推進していく部署に配属される予定です。

やはりコロナ禍の就活において最も特徴的だったのは『家の外に出なくても就活できる』という部分。採用面接も今回の長期インターンも、ほとんどオンラインで完結しました。

自分は茨城に住んでいるので、わざわざ東京に出てこなくても就活や長期インターンができたのは、コロナ禍だったからこそだと感じます。」

渡邉:「私は3月に内定を頂き、4年生になる前に就活が終わったので、『早めに終われてよかったな』とホッとしています。

私も千葉に住んでいて、東京まで出るのに電車で1時間くらいかかるので、オンラインで就活を進められたのは、むしろラッキーでした。

オンラインなら予定を詰め込んで1日に3〜4つの説明会に出ることもできるし、事前に資料を送ってもらえて、じっくりと会社を比較検討することができたので、すごくよかったですね。」

今までの就活スタイルを知っている人からすれば少々意外かもしれないが、東京以外の地域に住んでいる彼らのような学生からしてみれば、オンライン中心の就活はむしろメリットの方が大きかったようだ。

とはいえ、社会全体の先行きが見えない中で自分のキャリアを考える過程には、不安を感じる場面ももちろんあったという。

鈴木:「ちょうどコロナ禍になったばかりのタイミングで就活が始まったので、ニュースでは『景気が悪い』と連日のように報道されていて。

普通に就活できる状態かもわからないし、1つ上の先輩の『内定取り消し』みたいなニュースもあったので、そうした社会の状況に対する漠然とした不安がありました。」

渡邉:「私の場合は、同じような状況下で就活した先輩がいなかったことから、誰に相談すればいいのかもわからない、手探りでやらなきゃいけないという不安が大きかったです。

あとは、オンラインの面接やグループディスカッションで、何を見て判断されているのかよくわからないという不安もありました。

ネットの調子が悪いと『絶対落ちたな』と落ち込むこともありましたし、周りを見ると何度も回線が落ちて、画面が止まっている人とかもいて……。そういうところで有利不利が出ちゃうのは、何だかなぁと思いましたね。」

ただでさえ緊張する場面の多い就活。事前にオンラインツールに慣れておき、不要なトラブルを避けるのは一見当たり前のことようにも思われるが、実際には少なくない数の就活生が機材面のトラブルに見舞われているようだ。

本選考の時期になって慌てないためにも、早いうちからオンライン面接の経験を積んでおくことは、意外と大事なポイントなのかもしれない。

1day等の短期インターンは、結局ただの「採用イベント」にすぎないと感じた

そうした「オンライン」という新しい流れを追い風にしながらも、ほとんど手探りで始まった2人の就職活動。その中で「Next Entrepreneur’s Meetup」に出会い、参加したのが去年の7月のことだ。

2人は「インターン」に対してどのような印象を持っており、どのような理由でこのイベントに参加したのだろうか。

鈴木:「インターンに対しては『行かなきゃいけない』というイメージを持っていました。友人の間でも『インターンに行くことで選考が有利になるんじゃないか』みたいな話があって、自分から『行きたい』というよりは、義務感の方が強かった。

ただ、いくつか1dayや短期のインターンイベントに参加する中で「1日や2日では得られる学びが少ないし、企業についても表面的なことしかわからない」と感じて。自分が働いているイメージを持ったり、より大きな成長を得るためには長期インターンの方がいいなと思い始め、長期インターンができる企業を探し始めました。

その中でこのイベントのことを知り、『とりあえず参加してみよう』と思って参加しました。

実際に行ってみるとお客さまのようなおもてなしを受けて、短期のインターンイベントで本当に職場の雰囲気やカルチャーを掴むのは難しいなと感じましたね。

『Next Entrepreneur’s Meetup』に参加したのは本当に偶然で、開催日当日の10分前にSNSでイベントの告知を見て。『新しく企業のことを知れるなら、参加しない理由はないな』と思い、軽い気持ちで参加しました。」

たしかに一括りに「インターン」と言っても、採用イベントである1dayや短期のインターンと、実際に企業の中に入って働く長期インターンとでは、その中身はまったくの別物だ。特に「本当の意味で会社の雰囲気やカルチャーを知る」「自分が実際に働くイメージを持つ」といった部分は、長期インターンでないと経験するのは難しい。

ただ、大企業でそうした学生の長期インターンを受け入れているところはほとんどない。そこで出てくるのが、スタートアップ・ベンチャーという選択肢だ。

2人も当初は大企業を中心に見ていたというが、イベントにおいて新しくスタートアップ・ベンチャー企業と出会う中で、そのイメージが変わり、選択肢が広がったという。

鈴木:「就活を始めるまでは、『ベンチャー企業』と聞くと『キラキラした会社なのかな』というイメージを持っていたのですが、実際にスタートアップやベンチャー企業の方の話を聞いてみると、会社ごとに本当にさまざまな価値観があって、興味を持つようになりました。

結果的に僕は大企業を選びましたが、『スタートアップ・ベンチャーだから』と一括りにするのではなく、それぞれの企業の価値観を見極め、自分に合った会社を選ぶのが大事なのだと思います。」

渡邉:「スタートアップの方って、1つのサービスやプロダクトに特化しているケースが多いと思っていて、『自分たちはこういうことをやっています』というのをすごく熱量を持って話してくださるんですよね。

そういう話を聞いていると『自分もそういうふうに情熱を持って働いてみたいな』と、すごく刺激を受けました。」

「法学部の私が宇宙を科学する」大学や新卒入社先では得難い、長期インターンならではのギャップ体験

2020年7月の「Next Entrepreneur’s Meetup」には、9社のスタートアップが出展したが、その中の1つが鈴木さんと渡邉さんのインターン先である株式会社スペースシフトだ。

同社が手がけるのは、人工衛星の撮影データを自動的に解析するAIの開発事業。現在、宇宙空間に打ち上げられる衛星の数はどんどん増えており、そこから集まるデータの数も加速度的に増え続けている。それらのデータを人の目で見て確認していてはとても処理が追いつかないため、AI技術を活用しようというわけだ。

同社代表取締役CEOの金本成生氏は、この技術の具体的な活用事例について、次のように説明する。


株式会社スペースシフト 代表取締役CEO  金本 成生氏

金本:「たとえば、台風などの災害によってどこがどういうふうに浸水しているか、どの川がどのように氾濫しそうか、といった情報を迅速かつ正確に把握するのに、この技術を活用できます。

これによって何ができるようになるのかと言うと、早急な災害対応はもちろん、たとえば『保険会社が被災した方に対して保険金をスピーディに支払う』といったことも実現できるようになります。

これまでは実際に人が被災地に行って、どこまで浸水していたのかを目視で確認・査定していたものを、AIで衛星データを判別し、支払いのシステムに自動連携することで、非常に迅速に保険金の支払いができるようになるのです。」

人工衛星にAI、データ解析。理系のイメージが強い事業領域だが、同社でインターン生を指揮している齋藤 亮氏は「理系と文系の比率は7:3ほど」であり、「宇宙やAIに関する事前の知識がほとんどない学生も活躍している」と語る。

齋藤:「インターン生には、主にAIにインプットする教師データ(機械学習を正常に機能させるために必要なデータ。AI導入の目的となる『予測』のためには、この教師データが必要)の作成業務をお願いしているのですが、これはプログラミングやAIの知識がないとできない、といった作業ではありません。そのため、機械学習やAI、プログラミングの知識がほとんどない学生でも対応可能なのです。

また、衛星データから何らかの変化を読み取る際には、理系というより地理の知識が必要だったりするので、そうした文系学部・学科の学生も受け入れています。」

実際に渡邉さんも、法学部国際政治学科に在籍する文系の学生だ。

「むしろパソコンに触るのは苦手で、理系の素養はほとんどなかった」と言うが、彼女はスペースシフトのどんな部分に惹かれて、今回の長期インターンに応募したのだろうか。

渡邉:「私は『コロナ禍だから、文系も専門スキルを身につけておいた方がいい』みたいな情報に踊らされ、『未経験から文系SE』を目指していた時期があって……(笑)。スペースシフトは情報解析に関する業務について、学部やスキルを問わず(長期)インターン生を募集していたので、興味を持ちました。

ただ、話を聞いているうちに、自分が大学で勉強していた環境汚染や新興国の都市開発に関する教師データを探すこともあると知り、『自分が興味を持って学んでいたことが業務に活かせるんだったらやってみたい』と思って応募しました。」

一方の鈴木さんは、大学でも情報処理や機械学習について学んでいる理系の学生。大学で学んでいることを少しでも活かせたらと思い、スペースシフトの長期インターンに応募したという。

鈴木:「大学でもAIについて勉強していたので、それが少しでも活かせたらと思って応募しました。

実際にインターンとして働いてみると、人工衛星がAIを用いて被災地の情報を分析し、そのデータに基づいて保険会社が被災地支援を行うといったように、大学の授業で学んでいたことが、実際の社会でどのように使われているのか、どうビジネスにつながるのかも知ることができ、すごく大きな学びにつながりました。」

「長期インターン=アルバイト」としか思っていないなら、まだまだ就活素人。プロは大人の技を盗みにかかる

なるほど、ここまでで長期インターンならではの面白みや重要性は理解できた。ただ、待ってほしい。いざ長期インターンに応募するとなると、「学業や就活と両立できるのか?」と躊躇してしまう学生も多いだろう。

その答えは勿論、YESだ。そんな皆さんの不安を払拭すべく、学生側の事情を考慮し、フレキシブルに対応してくれる企業も増えているようだ。

スペースシフトでも「単位を取って卒業することが最優先」と、学業との両立に支障が出ないよう業務を調整しているという。


株式会社スペースシフト 取締役CTO 齋藤 亮氏

齋藤:「働き方は完全フルリモート。データ処理の仕事なのでシフトなどもなく、『いつまでにこれをお願い』という形で、各自のペースで進めてもらっています。そういう意味では、学業や就活と比較的両立しやすい業務かも知れません。

ただ、やはり学生さんのスケジュールもあるので、試験の時期などにドカンと仕事を振らないよう、ある程度事前に調整するようにはしています。とりあえず試験を先に受けてもらって、その後に仕事を振るようにする、とかですね。」

決して業務量が少ないというわけではないが、このような働き方と企業からの理解があれば、学業や就活との両立も比較的しやすいだろう。

インターン生の2人も、さまざまな他の活動に加えて長期インターンに参加することで、特に時間をうまく管理する感覚が身についたという。

鈴木:「アルバイトなどで、決められた時間内に、言われた通りに仕事した経験はあっても、締め切りのある仕事に対して、自分で時間の使い方を工夫しながら進めるという機会はあまりなかったので、そうしたタイムマネジメントのスキルはこのインターンで養われたように思います。」

渡邉:「業務ですごく忙しくなることもあるのですが、やってみると意外となんとかなったな、という感想が大きいです。結局は、限られた時間をどうやって有効に使い、パフォーマンスを出すかということですよね。その他、不明点があればまずは自分で考え言語化してから、質問して解決するといった基本姿勢も身につきました。

『今のうちから社会人としてのあり方に慣れておく』という意味でも、オンラインで長期インターンに参加する価値は大きいと思います。」

たしかに、就活という人生に関わる大きなイベントに向けて、限られた時間のなかでより多くの情報や知見を吸収しておきたいという学生の気持ちはよくわかる。

ならば、今のうちからその“場”を見つけに行かない手はないだろう。

長期インターンとは、就活における“自信”を手に入れる場所

ここまで4名が教えてくれたとおり、コロナ禍によってフルリモートやフレックスの働き方が当たり前となり、地方の学生にもチャンスが広がっている長期インターン。

そこから得られる学びは、人やインターン先の企業によってさまざまだが、2人が長期インターンに参加する中で得た、一番大きな学びは何だったのだろうか。

渡邉:「私の場合は、『自分に合っているのがどういう仕事なのか』を判断できるようになったのが、一番大きいように思います。

最初は『文系でSEを目指してみようかな』と思って、大手IT企業ばかり見ていたんですけど、実際に今回インターンとして働いてみると『1日中パソコンに向き合って作業するのって、自分には向いていないかもしれない』と思い始めたんですよね。

それよりも、誰かにつくってもらったものを理解した上で社会に広めるとか、別の使い方ができないか考えるとか、そういうことの方が向いているかもしれないと思い、総合職を目指すようになりました。

また、スペースシフトで自分が『やりたい』と言ったことを『いいんじゃない?やってみれば?』と言ってもらえたり、全員の顔と名前がわかる規模の組織で働く中で、自分は大企業やメガベンチャーではなく、多くても100人規模ぐらいの会社で働きたいということがわかったのも大きかったです。

人間って、自分が実際に見聞きしたことからしか判断できないと思うので。学生のうちから長期インターンとして『働く』ことを経験する中でそうした判断材料を持てたのは、就活においても大きなアドバンテージになったと思います。」

鈴木:「僕はやっぱり、自分で期日を切ってタスクを進める時間の使い方や仕事における人との接し方といった、社会人としての基礎的なスキルを身につけられたのが大きいです。もし今回の長期インターンをしていなかったら、そうしたスキルは身に付いていなかったと思うので。

学生のうちから社会人の人とのたくさん関わりを持てたことで、就活の面接などにおける自信にもつながりました。

最初の一歩を踏み出すのにはかなり勇気がいりましたが、実際に長期インターンに参加することで、『自分が何をしたいのか』とか『自分が周囲からどう見られているのか』がわかってきた部分もあるので。今はまだ長期インターンに行こうか迷っている人にも、ぜひオススメしたいですね。」

2人の話す様子からは、来年から始まる社会人生活に対する期待と自信が、ありありと感じられた。やはり「長期インターンを通じて自分の働くイメージを明確にし、後悔なく就職先を選択できた」という部分が大きいのだろう。

「とりあえず参加してみよう」良い出会いは意外とそこから生まれるもの

最後に2人から、これから就活に取り組む学生たちに向けてのメッセージをいただいた。

鈴木:「今はまだ夏なので、ガツガツといろんなことにチャレンジするといいと思います。

その中で、成功することもあれば失敗することもあると思いますが、今のうちにたくさん失敗を経験しておいて、秋や来年の春に始まる本格的な就職活動に活かすことが重要だと思います。

たとえば、あえて『やりたくないな』と思っている職種にチャレンジするのも、長期インターンの間じゃないとできないこと。

そうやっていろんなことを経験する中で、自分の『やりたいこと』を明確にしていけるといいのかなと思います。」

渡邉:「『まだ何もやっていない』『何から始めればいいのかわからない』という人こそ、長期インターンに参加するといいと思います。実際に私もスペースシフトのインターンに参加することで、『こうなりたい』という自分の理想と自分が向いている仕事のギャップについて知ることができたので。

また、仮にインターンの選考で落ちてしまったとしても、それは就活や面接の練習として必ず役に立つものだと思うので、少しでも興味を感じるものには、とりあえず飛び込んでみてほしいです。」

鈴木氏と渡邉氏が偶然にもスペースシフトに出会い、長期インターン参画のチャンスを獲得できたイベントの次回開催は、7/7の午後18時から(Zoom/オンライン開催)。今回取材に登場したスペースシフトのほか、9社のスタートアップが登壇予定だ。

●転載元記事:https://www.fastgrow.jp/articles/kanemoto-saito-suzuki-watanabe