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『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』が有楽町で開催! JAPAN TECHとb8taに聞く、デジタル展示会のあるべき姿

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2020年を振り返ると、誰もが「大変な年だった」と口を揃えるだろう。働き方や商談、接客など商習慣が見直され、前例がない中で対応しなければいけなかった。

展示会も同様に、感染拡大に考慮して多くがデジタル展示に切り替えている。デジタル展示はリアルとは異なるノウハウが求められ、手探りで準備を進めた企業は多かったのではないだろうか。

収束が望まれるコロナ禍だが、いまだ先行きは不透明だ。2021年もデジタルエキスポは続いていくはず。この変化に、運営事務局や出展者はどのように対応していけば良いのだろうか?

本記事では、そのヒントを得るため、2021年1月9日(土)〜17日(日)にb8ta Tokyo – Yurakucyo(ベータ有楽町)で『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』を開催する「JAPAN TECH」共同代表の加藤浄海氏と「b8ta Japan」の新規事業開発をリードする安井翠氏にこれからの展示会のあり方を伺う。

INDEX

世界最大級のテクノロジー見本市「CES」がいよいよ有楽町に出張
米事務局から突然のデジタル開催宣言。模索のなかでコラボが決まった
研究段階の技術やスマートシティ構想も展示。テクノロジー好きは見逃せない
リアルがなければ成り立たない、デジタル展示特有の課題とは
今後は伝統工芸やファッションイベントの構想も。常に新しい出来事が起きる場所へ
ここがポイント


加藤浄海
JAPAN TECH共同代表/株式会社クリエイティヴ・ヴィジョン代表取締役
国内のイベント会社を退職後、2013年に株式会社クリエイティヴ・ヴィジョンを設立。日本企業の出展する米国の展示会に特化したサービスの提供を始め2017年に世界最大テクノロジーショーCESの日本で唯一の販売代理店となり、CESの中でジャパンテックプロジェクトと言うジャパンパビリオンの企画を運営。


安井 翠
b8ta Japan G.K. (ベータジャパン合同会社) Senior Business Development Manager
2014年に米国の州立大学を卒業後、4年間デロイトトーマツコンサルティングにてテクノロジー・ロボティクス・AI業界のクライアントのBPR案件から新製品企画などに従事。
後にソフトバンクロボティクス 米国オフィス にて同事業のサービスローンチを経験後、2020年1月 b8ta Japanの初期メンバーとして入社。

世界最大級のテクノロジー見本市「CES」がいよいよ有楽町に出張

『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』の会場となるb8taは、シリコンバレー発の新しい形態の小売店だ。ビジネスモデルはテナント業に近く、自ら商品を仕入れず店舗に数十箇所のブースを設け、メーカーに月額で貸し出している。一般的なテナント業との違いは店舗のIoT化だ。b8taは来店者の導線を分析し、ブースごとに立ち止まった回数を計測、ブースにはタブレットを設置し、製品の特徴や仕様を紹介。さらに店舗スタッフが接客を通してユーザーの声をヒアリングしている。

出展企業はこれらのデータにアクセスして、マーケティングや製品改良に必要なデータを取得できる。

デジタルガジェットや衣服、食品、モビリティなどは、実際に触れて、操作しなければ魅力が伝わりづらい製品だった。b8taはECでは不可能だった「体験」を補完している。

このたび開催される『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』は、世界最大のテクノロジー見本市CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)の日本出張版だ。2020年は世界160ヵ国から約18万人が訪れ、4600以上の企業が参加した同展示会。例年は米ラスベガスで開催されているが、本年は感染拡大に考慮して、展示を全てデジタル会場に移している。本年は日本からスタートアップ51社の出展が決まっているが、『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』ではその一部が集まり、製品展示や動画配信を行なう予定だ。

b8taは本国を含め、多数のデジタルガジェットを展示してきたが、CESとのコラボは今回が初めてとなる。本イベントはなぜ開催されることになったのだろうか?

米事務局から突然のデジタル開催宣言。模索のなかでコラボが決まった

――まずお聞きしたいのは開催の経緯です。国内には数多くの展示会場がありますが、なぜb8taとコラボすることになったのでしょうか?

加藤:もともと私は、米国の展示会に出展する国内企業のサポートをしていました。2017年にはCESの日本正規代理店になり、日本企業と米国のCES事務局を橋渡ししていたんです。
『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』開催のきっかけになったのは、事務局からの連絡でした。例年通り2021年度も米ラスベガスで開催される予定でしたが、2020年7月下旬に「今年はデジタルオンリーで開催します」と通知が届いたのです。すでに出展企業と詳細をやり取りしている最中でしたので、以後1ヶ月は対応のために忙しい日々が続きました。

――それは突然の告知だったのでしょうか?

加藤:そうですね。7月上旬までは事務局のトップも「リアルな会場でなければ開催する意味がない」と言っていましたから。プロジェクトが無くなってしまうと当社も収益が確保できなくなりますし、すでに出展支援をしている企業様にも顔が立たない。当時は取引先と今後の対応を模索していました。

――その後、どのような経緯でb8taと連携していくことになったのでしょうか?

加藤:お客様にヒアリングするうちに、やはり「リアルの会場で展示会をしたい」という声が多かったんです。そのニーズに応える形で2020年9月2日に社内で「どうにかしてリアルの展示をやっていこう」と宣言しました。b8taさんからコンタクトがあったのはその1週間後でした。

――今回のコラボはb8taが発端だったのですね。

安井:コロナ禍に対応するために、単純な「新しい体験型の店舗」だけではない新しいスキームを模索していました。逆にこの厳しい環境をチャンスだと捉え、幅広い企業様・幅広い用途で「リアルで展示するならb8taだ」と認識してもらいたかった。そう考えていた折に、CES 2021がデジタル開催されることを知ったんです。
ニュースを見て「リアルな展示会場・配信会場を探す企業様が増える」と予想できたので、ニーズに応えたいと考えました。そこで、幅広いテクノロジー企業にアプローチするため、JAPAN TECHさんにお声かけさせていただきました。

加藤:こちらとしてもありがたいお話で。開催場所を探している最中でしたし、b8taさんはテクノロジーとの親和性も高い。さらに都心からのアクセスも良い。まさに「渡りに船」の出来事でした。

研究段階の技術やスマートシティ構想も展示。テクノロジー好きは見逃せない

――ここからはイベントの内容を聞かせてください。今回はテクノロジースタートアップだけでなく、地方自治体や研究機関も出展していると聞きました。具体的にはどのような製品が展示されるのでしょうか?

加藤:スタートアップの展示製品は、約85gの小型空気清浄機「OiSHi」や、NETGEAR社の高速Wi-Fiゲーミングルーター、個人がAI開発を行なえるシステム「DeepEye」など、テクノロジー領域の製品が中心です。さらに、福岡市のスマートシティ構想や、奈良先端科学技術大学院大学の箸型センサーなど、研究段階の展示も行なわれています。
イベントの冠になっているCESはテクノロジーの見本市なので、過去にはテクノロジー構想や研究段階の技術も展示されてきました。米ラスベガスの現地会場には何度も足を運びましたが、参加するたび少し先の未来を見せてくれます。僕はCESを見続けることで、未来が明るくなると思っていて。時代の進化がなんとなく分かるようになる。「じゃあ自分だったら〇〇をしてみよう」と新しいビジネスアイデアが生まれてくると思います。

――そのほかに注目してもらいたいポイントはありますか?

加藤:今回のイベントには、経産省が主催するスタートアップ育成支援プログラム「J-Startup」や日本貿易機構「JETRO」もご協力いただきました。JAPAN TECHだけではアプローチしきれない企業に声をかけられたので、充実した展示内容になっています。

安井:国内のテクノロジー・ガジェット系のスタートアップ企業様とは沢山お話をしてきましたが、「J-Startup」と「JAPAN TECH」、そして「CES」のロゴが横に並ぶことが、奇跡に近いと思っていて。支援団体の垣根を越えて、国内の面白いスタートアップが一堂に会する機会はとても貴重だと思います。
私は過去3回、CESに足を運びましたが、今後実用化されるか分からない技術も含め、多くの発見がある場所です。テクノロジー好きにはぜひ訪れて頂きたいです。

リアルがなければ成り立たない、デジタル展示特有の課題とは

――ここからはよりマクロな視点でお話を伺います。2020年はコロナ禍の影響をうけ、様々な展示会がデジタル開催に移行していました。アフターコロナでもこの流れは続いていくのでしょうか? 加藤さんはCESの日本正規代理店として、日本企業の出展をサポートしています。国内外のエキスポに詳しい立場として、展示会は今後どのように変化していくのか、考えを聞かせてください。

加藤:個人的には、今後の展示会はリアルとデジタルの複合型にシフトしていくと考えています。仕事柄、海外の展示会もチェックしていますが、先々の予定を見ても9割以上が複合型です。

――デジタル展示会は世界中から参加者を集めることができ、会場費用もかかりません。メリットを考えるとデジタルオンリーでも良いように思えますが、なぜ多くの運営事務局がリアルの会場を残しているのでしょうか?

加藤:やはり、リアルがベースにないと成り立たない展示会があるからです。たとえば、食品の展示をデジタルオンリーで進めても、現物を口にしないければ風味が伝わらない。リアルでなければ完結しない製品カテゴリーは多いと思います。ほかには、衣類やフレグランスも体験が必要な製品です。

――なるほど、デジタルで仕様は確認できても、触り心地や風味、音などは実際に触れてみないと分かりませんね。デジタルの弱点を埋める形で複合型展示が企画されていますが、これは今まで前例が少なかった形式です。2020年は多くの企業が手探りで準備を進めてきたはず。そのなかでどのような課題が生まれていたのでしょうか?

加藤出展者目線では、他ブースとの差別化に苦労しているそうです。リアルな会場ではアイデアと装飾でブースを目立たせられます。賑わいができれば人が集まり、メディアにも取り上げられる。一方、デジタルではブースの装飾ができません。多くのデジタルエキスポが特別枠としてサイトのトップページなど導線が多いところからのアクセス権を提供していますが、予算に制約がある企業も多く、根本的な解決には至っていません。

安井:我々b8taはリードを獲得するために、よく展示会に足を運んでいますが、来場者目線では展示企業とのコミュニケーションに苦労しました
とあるデジタル展示会ではブースを訪れるとアクセス履歴が付き、全ての企業からメールが送られてきます。すると、本当にコンタクトを取りたい企業が埋もれてしまうんです。個別にチャットを送ることもできましたが、システムがうまく機能していない展示会もありました。

――出展者と来場者の双方に課題が生まれているのですね。課題に対して、『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』ではどのような解決方法を用意しているのでしょうか?

加藤:リアルで会場を設けたことがひとつの答えだと思っています。実際に触れてみなければ魅力が伝わりづらい製品がありますし、人と人が直接接するからできることもある。流入データの取得など、デジタルには特有の利点がありますが、複合型はデジタルとリアルのメリットを活かして、足りない要素を補えます

安井:もちろん感染拡大を防ぐために来場者制限を行ない、スタッフが案内を代行して出展者様が常駐しなくても良い体制を整えています。クラスターを発生させてしまうと今後同じスキームは組めなくなるので、細心の注意を払って進めています。

――その他に行なっている工夫はありますか?

安井:展示会にメディア露出の機会を求める出展者様も多いので、プレスデーを設けました。加えて、会場に特設スタジオを設けて1月13・14日にYouTubeでカンファレンスのライブ配信を行ないます。国内スタートアップや研究機関の革新的な取り組みを紹介しますので、会場に足を運べない方にご視聴いただけたら嬉しいです。

加藤:できれば多くの方に、直接会場にお越しいただけたらと考えていますが、現実的には難しい時勢です。デジタルを活かして間口を広げつつ、リアルの会場をデジタルで補完する。ここが現実的な着地点だと思います。

今後は伝統工芸やファッションイベントの構想も。常に新しい出来事が起きる場所へ

――最後に、今後の構想について聞かせてください。

安井:『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』はテクノロジーをテーマにしていますが、b8taとしては、より幅広い業界とのタイアップを実現していきたいです。実は、メディア媒体とタイアップしながら、動画スタジオ的に利用してもらう構想も立てています。このデジタルとリアルの複合型展示会を成功例にして、今後も皆さんが見たことない製品やサービスを「発信する場」として新しいb8taの姿を見せていきたいです。

――以前、b8ta代表の北川さんに取材させていただいた時には、「ガジェットだけでなく、伝統工芸的なものも展示していただきたい」とお話しされていました。ミラノサローネのように工芸品が展示されても面白そうです。

安井:工芸もそうですし、ファッションも面白いかと思いますね。店舗の営業時間後にb8taでファッションショーを行なったり、インフルエンサーさんが来て製品のレビューを配信していただいたり。常に新しいものごとが起きている場所、それがb8taのあるべき姿だと考えています。

――加藤さんは今後の構想はありますか?

加藤:具体的な計画は立てていませんが、次回開催するならCESのイノベーション・アワードを受賞した企業を誘致してみたいですね。CESでは毎年、先進的な事例に賞が贈られます。メディアの注目度も高く、世界的にも評価が高い賞です。
この構想が実現すれば、CESの魅力を日本に発信できます。実際に行ってみないと面白さが伝わりづらい展示会ですが、僕は遠くラスベガスまで行く価値があると思っていて。日本の企業様にも出展してもらいたいので、障壁を下げるため、どのようなエキスポなのか知ってもらいたい。もし来年があるなら、実現してみたいですね。

――CESの雰囲気を知るために、まずは『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』にご来場いただきたいですね。本日はありがとうございました!


開催日時:2021年1月9日(土)〜1月17日(日)11:00〜19:30
開催場所:b8ta – Yurakucyo 東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル一階
一般参加無料

ここがポイント

・2021年1月9日(土)〜17日(日)にb8ta Tokyo – Yurakucyo(ベータ有楽町)で『CES2021 JAPAN TECH @b8ta』が開催
・b8taとコラボは「リアルの会場で展示会をしたい」という声をうけ対応を模索するなかで生まれた
・小型空気清浄機「OiSHi」、NETGEAR社の高速Wi-Fiゲーミングルーター、福岡市のスマートシティ構想などが展示
・経産省が主催するスタートアップ育成支援プログラム「J-Startup」や日本貿易機構「JETRO」も協力
・今後の展示会はリアルとデジタルの複合型にシフトしていくと考える
・リアルがベースにないと成り立たない展示会がある
・複合型はデジタルとリアルのメリットを活かして、足りない要素を補える


企画:阿座上陽平
取材・編集:BrightLogg,inc.
文:鈴木雅矩
撮影:小池大介