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『スタートアップを急成長させる!大手企業と取り組むこれからの共創とは 』 xTECH Lab MARUNOUCHI vol.8

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大手企業がスタートアップに出資や支援をして事業共創を目指す、「アクセラレータープログラム」。この数年でオープンイノベーションの重要性が声高に叫ばれたことから、多くの大手企業がアクセラレータープログラムを実施するようになりました。しかし、プログラムをどう事業に生かしていけば良いか、どんな基準で企業を選んだら良いかと不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした課題を抱える方の力になればと、企業間のコラボレーションの可能性や成功事例を学ぶ場を提供するコミュニティ「xTECH Lab MARUNOUCHI」では、日本という異なるマーケットでビジネスを展開しているグローバルテクノロジー企業から話を聞くイベントを企画。

今回は、アクセラレータープログラムを運用される2社のうち、株式会社ゼロワンブースター
共同代表・取締役の合田 ジョージ氏と株式会社サムライインキュベートの宿輪 大地氏をゲストにお迎えしました。

INDEX

教育や事業開発、組織開発に貢献する、事業創造パートナー「01Booster」
スタートアップ×大手企業で世界に価値を生み出す、「サムライインキュベート」
近年よく聞く、「アクセラレーター」と「インキュベーター」の違いとは?
大手から中堅へ。変わりつつある、アクセラレータープログラム
スタートアップがうまくアクセラレータープログラムを活用するには

教育や事業開発、組織開発に貢献する、事業創造パートナー「01Booster」

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合田:株式会社ゼロワンブースターの合田 ジョージと申します。私自身はもともと電機メーカーや部品メーカーで、研究開発や海外事業となどを行っていて、その後スタートアップの立ち上げや売却を担当していました。実は、今日ゲストで参加されているサムライインキュベートさんに一度お世話になった経歴もあります。その後に一度買収された企業で少し仕事をした後にゼロワンブースターの仕事に就きました。

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ゼロワンブースターは、事業創造教育、事業開発プログラム、アクセラレーターなど色々手掛けています。今回のメインテーマであるアクセラレーターという文脈では60プラスαくらいのプログラムを運営した経験があります。
動画も色々と配信していて、起業、社内起業、地域、ちょっとしたノウハウなどもありますので、ご興味があればぜひご覧ください。

また、我々は有楽町で三菱地所さんと一緒にSAAI というシェアオフィスをやっています。コロナ渦では有りましたけれど、だいぶ人が増えて約300名ほどになりまして、非常に盛り上がっています。丸の内は素晴らしいので、ぜひお待ちしております。

スタートアップ×大手企業で世界に価値を生み出す、「サムライインキュベート」

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宿輪:サムライインキュベートのエンタープライズグループのディレクターをしております、宿輪と申します。私は九州出身で新卒でベンチャーに入社しています。そこで法人向けの営業をしていましたが、その後、日系のコンサルティング会社に入り、ここから大手企業向け支援のキャリアが始まりました。約3ヶ月スパンくらいで新しいプロジェクト、お客さんにイノベーションを起こしていくというミッションで活動していました。

サムライインキュベートに入ったのが2019年。サムライインキュベートでのプロジェクトの抜粋で紹介しますと、オープンイノベーションの文脈であれば三菱地所さんのアクセラレータープログラム、京急さんやSapporoさん、あとは公表していない企業など。社内起点のイノベーションでは、三菱地所さんとは社内のインキュベーションプログラムなどご一緒させて頂いています。

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あとは京急さんとの事例ですと、プログラムを通じて「アイカサ」がかなり成長しました。京急のアクセラレーター採択を皮切りにどんどん導入が進んで100倍の成長としたという、うまくプログラムを利用した例だと思います。他にも、テクノロジーを用いた新しい観光体験を作るというプロジェクトやイノベーションエコシステムの運営など、さまざまなプロジェクトを担当させて頂いています。

近年よく聞く、「アクセラレーター」と「インキュベーター」の違いとは?

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藤田:ここから、クロストークのセッションに入っていきたいと思います。基本的な質問になってしまいますが、「アクセラレーター」という言葉を近年よく聞くようになりましたが「インキュベーター」という言葉との違いをお二人に伺えたらと思います。

合田:「インキュベーター」はわかりやすくいうとスポーツジムですかね。例えば、どこかのスポーツジムにいって置いてある器具で鍛えて、トレーナさんにちょっとどうなのよという感じ。一方、「アクセラレーター」はだいたい期間が3〜6ヶ月、ブートキャンプのようにある期間で企業価値を伸ばすというところがあるので、期間が限定的です。そこが「インキュベーター」と「アクセラレーター」の違いかなと思います。

藤田:なるほど、分かりやすいですね。宿輪さんも同じような解釈でしょうか?

宿輪:そうですね、言葉的には「アクセラレーター」はスケールを目指すステージのもの。「インキュベーター」は0から0.1歩と進んでいくための位置付けかなと私は捉えています。アクセラレータープログラムを進める上で意識していることは、中長期的な視点と短期的な視点の双方を持つこと。短期的な視点だけだとスケールしない一方で、中長期的な視点だけだと一歩目が踏み出せない。スタートアップさんと大手企業さん、両者とコミュニケーションをする上でここはとても意識しているところですね。

大手から中堅へ。変わりつつある、アクセラレータープログラム

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藤田:先ほど、お二人のご紹介のところで事例を出していただきましたが、大手企業と数多く組まれていますね。大手企業さんはなぜ、アクセラレータープログラムを実施するのか、お考えを教えていただけますか?

宿輪:アクセラレータープログラムというと、オープンイノベーションをする上でのトライアルパッケージとしてやりやすいプログラムなんだと思います。例えば、大手企業さんの中で「社内にビジョンファンドを作っていきましょう」という提案しても、絶対断られる。勝ち筋を見つけてからにしようとなると思いますが、スモールスタートしましょうというと通りやすい。なおかつ、スタートアップへの求心力が手法として確立されている点でも選ばれやすいのではと思います。

合田:次のステップとしてくるのは、地域の中堅企業ですね。大手企業さんは自力でもやる、外部連携もやるという考え方をとる。一方地域の中堅企業さんは、自分たちでは無理だからいきなりベンチャー企業とやるというようなところがとても多い。中堅といっても結構大きい。100億円くらいある規模の企業なので、今後どかんとくると思います。

宿輪:スタートアップも色々と形式化されていたりもしますが、リスクマネーも集まってきている。中堅企業の話だと、要素技術を持っているメーカーさんとかだと、イノベーションが難しい領域までできるようになってきているわけです。デジタル化とかで、それが製造業やディープテックと言われているような領域とかにも入ってきていることで、中堅企業のすごい技術を持っている会社がオープンイノベーションを使って自社に技術を確固たるものにしていく。そういったプロジェクトが走り出していますね。

スタートアップがうまくアクセラレータープログラムを活用するには

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藤田:逆にスタートアップ側からするとアクセラレータープログラムに手をあげるメリット、またはどのように活かしていくと良いかについてお話をしていただけますか?

宿輪:そうですね。自分が今いるフェーズの経営戦略としていかにアクセラレーターを使うかと言う考え方が根本に必要だと思います。とにかく実績が必要というフェーズもあれば、技術はあるけれどユースケースがまだないというフェーズもある、自分のプロダクトのユースケースを大手企業さんとやって行きたいといったケースもある、あとは資金調達目的などもあると思います。そこら辺を考えてお互い、同じ目線で一緒にやっていければ良いのではないかと思っています。

藤田:なるほど。その辺り、ジョージさんはどう感じていますか?

合田:そうですね、まずはスタートアップ側の質が良くなってきている。しかし、アクセラレーターやオープンイノベーションは流行ったけれどあまりうまく行ってないだろうという意見もたくさんあると思います。それって本当なのかとデータをとってみたところ、結構うまく行き出しているんですね。数値で丁寧にみていくと結構うまく行っていて、昔よりも大手企業さんの動きも活発になっている。もうひとつ、大手企業とやると遅いと言いますが、僕はここにも疑問があります。大手企業は決めるには確かに時間はかかりますが、決まったあとはめちゃくちゃ早いですからね。スタートアップがついていけないということが実は起こっているんです。

藤田:スタートアップ側としては自分たちの提供している価値にフィットするかという部分がベースかと思うのですが、どういう風に選んでいくべきか、お二人のお考えはありますか?

宿輪:大手企業さんと行うとコミュニケーションコストがどうしても高くなるんですよ。例えば目の前の人、その次の人、と社内説明用の資料などの準備が必要になってきます。ただコミュニケーションコストが低い時があるんですよね、それは大手企業さんの中の大方針として打ち出された方向性に沿っているテーマや領域、事業内容だった時。その会社さんが掲げているテーマの裏にどんなストーリーがあって、そのストーリーがその企業が本気でやって行きたい領域なのかと言うところ。同じテーマでも各社さんの経営戦略を見た上でテーマを埋めるとどっちが良いのかを選べると思います。

合田:大手企業さん側でも支援できるかできないかが大きなポイントです。自社のリソースでは難しいとか、社内で同じようなプロジェクトが動いていたりすると選べなかったりと外からはわからない。あとは大手企業だけじゃなく、ベンチャーもそうですが自分たちの企業をそんなによくわかっていないケースがある。言い方は悪いかもしれませんが応募はテーマに大きく外れていなければ、いくつかのアクセラレータープログラムに応募してみても良いと思います。それで合ったところはOKと言ってくれます。

藤田:あと、大手企業さん側でもずっと継続されているところと途中でやめてしまうところがあると思います。その違いが出てくる要因は何だと思いますか?

合田:不確定要素は色々あると思いますが、多分日本企業は一般的に行っている量が少ないんですね。アクセラレーターではなくone of themであってLP投資や CVC、アクセラレーター、イベント、スポンサーとたくさんやっているというのがグローバルのデフォルト。連続して行なわないことを別に責めはしないですが、分断している状態はどうなんだろうと感じます。

藤田:宿輪さんは何かお考えあったりしますか?

宿輪:別の視点でお話をすると、続かない理由として多いのは現場が巻き込めずに結局、採択したものが何も結果がでなかったというパターンは多いのではないかなと思います。だいたい新規事業部隊と言うコーポレート的なポジションでプログラムを主催して実際のアセットを持っているのは現場、というケースが多いと思います。事業部をうまく巻き込めないと実装まではなかなか行かないので、その巻き込みを意識せずにやらなかった結果うまく行かなかったと言うパターンはそうですよねと。なので巻き込みをしっかりと行った上でうまく行かなかったのか、巻き込みぜずにうまく行かなかったのか、そこを意識するかどうかで続くプログラムになるかが決まると思います。

藤田:あっという間にお時間が来てしまいましたが、最後にスタートアップのみなさんに対して、大手企業さんとの取り組みや共創についてメッセージをいただけたらと思います。

合田:そうですね、スタートアップのみなさんにお伝えしたいことは、昔とは状況が違っていること。失われた30年で日本の大手企業はだめだなどと言われていますが、変わっている。日本はグローバルの中で厳しいかと言われたらそんなこともないと思います。スタートアップのスペックもどんどん上がっていますし、お金だって日本のコーポレートキャピタルで6000億円くらいあります。そう言った文脈で考えると、昔と違うから大手企業さんとどんどん組むべきですし、日本では商圏をどうやって取っていくかが重要。大手企業さんは商圏を握っているから、そこにうまく乗せてコラボレーションしていければ良いですよね。イノベーションはスタートアップでやりましょう、それをスケールするのは大手企業でやりましょうというグローバルでもある意味当たり前のことが日本でも起こっている。そういうダイナミズムの中でチャンスを逃さずに動いていただければと思います。

宿輪:大手企業側が選ぶ側としての視点でお話すると、テクノロジーも増えていて同じ領域でも似たアプローチのスタートアップさんはいるじゃないですか、そういった時に自分を採択してもらう必然性を提案前にひたすら自問自答することが重要かなと思います。競合よりユーザーが多いからという表面的な結果ではなくて、プロダクトの思想とか技術の強さなどの自社のポジショニングをしっかりと伝えることです。自分の独自性、選んでもらう必然性は絶対にあるはずです。なぜならユーザーに受け入れられるサービスを持っているはずなので、そこをきちんと言語化しておくこと。意外とそこが疎かになっている提案が多いので、そこは意識しておくと良いと思います。

藤田:まだまだお聞きしたいことはたくさんありますが、本日はお二方、ありがとうございました。

▼当日のセッション
【xTECH Lab MARUNOUCHI vol.8】『スタートアップを急成長させる!大手企業と取り組むこれからの共創とは。
https://youtu.be/EwfLiLZx0OA